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院長コラム

動物を飼うということは

動物病院での日々の小動物の診療が私の仕事ですが、時に動物に関するゲストティーチャーの依頼を受け、小学校などに赴くこともあります。大抵は小学校で飼育している動物たちを題材に、触れ合い方を学んだり、疑問を一緒に考えたりするのですが、子供たちの素直な驚きや反応に、学ばされることも多いです。

そして、一通りの授業が終った後に、次回の授業の参考とするため「学校のウサギさん(時には鳥さん)へ!」と題した手紙を児童の皆さんに書いてもらっています。その中に以前「動物たちを自然に帰してあげて下さい。学校のウサギを自然に帰してあげて下さい」という手紙がありました。様々な個性的な手紙がある中で、この手紙は、ずっと心の中に引っかかって、ふとした拍子に頭の中に何度もよぎります。子供の素直で素朴な思いつきなのかも知れませんが、このことは我々に対しても多くの議論を投げ掛けているとも考えられるからです。


これに対する模範的な回答は、次のようなものになると思います。「学校のウサギも鳥も、家の犬も猫も、何百年、何千年も昔に、人との関係を作り始めました。最初はその動物を食べたり毛皮を取るためであったり、また、人間の食べ物を一緒に摂ったり、ネズミから守ったりするために、特に人を怖がらない、慣れやすい動物が特長を生かしたことで、人との関係が近づきました」「そして、時間が経つにつれ、人の生活にちょっとゆとりが出来た時に、人は動物たちのちょっとしたしぐさや表情に安らぎを感じるようになり、今のような家族の関係になりました」「長い年月をかけて出来上がった人と動物の関係によって、その動物たちが戻るべき所はなくなっていました。たとえば狼と違って小型犬は人の足跡がまったく無いところでは生きていくのがとても難しいように」


実際には、この児童の手紙に対する解決を見つけることは非常に困難だと思います。まず、人と動物との関係が成立した時点の自然環境を取り戻さねばなりません。しかしこれは、我々がこれまでに行ってきた様々な近代化の否定にほかならないのです。動物を飼育することは、ひょっとしたら現在に至るまでの人類が進歩と信じる過ちの贖罪(しょくざい)を背負っている重たい行為なのかも知れません。人が勝手に滅ぶのは人の勝手かも知れませんが、彼ら動物を巻き込むことは許されぬことなのかも知れないのですから。

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