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院長コラム

できものの扱い

近年、動物の皮膚の「できもの」の相談を受けることが多くなったと感じています。動物の高齢化は無論のこと、動物の室内飼育の割合が非常に増え、動物と飼い主の距離が縮まったことで、発見が増えているのかも知れませんし、動物の体表の腫瘍に関する様々な情報に接する機会が増えたからかも知れません。


この件に関して動物病院での診察も多いのですが、飼い主が「果たして病院に行ったほうがよいのか」と、悩んで電話で相談を受けることもあります。結論的には、電話では診断できないのはもちろん、肉眼で見て、つまんだり引っ張ったりしてもほとんどのものは誰にも「わからない」のです。この「わからない」というのは、外見では、「できもの」は誰にも判断できないというレベルの「わからない」という意味です。最終的な診断は、細胞の一部、また、理想的には全部を顕微鏡などで観察する検査(病理検査)でしか現在のところ得ることはできないのです。


しかし、すべての「できもの」に対して、これらの検査を行うことは、経済的にも、また、動物も苦痛を伴うため非常に難しいのも事実です。例えば、末期の老齢性の心不全の動物にこのような検査や摘出手術を行うのは寿命を大幅に縮める結果にならないとも限りません。そこで我々は、頭の中に入っている過去の症例、文献などから「予想」を立てます。また、時間に伴う経過・変化から暫定的な診断を探ります。しかし、そこで得られるものは、あくまでも暫定診断で、正確である確率を高めるための作業の結果でしかありません。


獣医師は「できもの」の診断を求められたとき、病理検査を行わない限りは、あくまでも、傾向を話すしかないのです。ここに、熟練や「勘」が介入する余地はありません。たかだか「できもの」であれども、現在のところ、その取り扱いは非常に難しいことが理解できると思います。今後の科学技術の発達により、より苦痛の少ない検査・治療法が利用できるようになることを期待してやみません。


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