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院長コラム

なぜ捨てるのか?

私は職業柄、捨て犬や捨て猫の相談をよく受けますし、自身が当事者になることもあります。先日、不自然に急発進する自動車の音を不審に思って外に出てみると、病院の玄関前に段ボール箱が置かれていました。中には子猫が…。防犯用に設置してある監視カメラに残されている画像を確認すると、非常にショッキングな映像が残されていました。箱を置いてせわしなく駆けて行く後ろ姿は、小学生とおぼしき女の子の姿。自動車で立ち去ったところから、箱を置いていった女の子の親も今回の行為に関係していることが想像でき、とても心が痛みました。


苦労して動物の里親を探すことで、命のいとおしさの実感、人と人の協力の大切さ、そして別離の悲しさを学ぶ機会を逸して、この子の親は他人にこっそりと丸投げするかたちで、面倒なことから決別する教育を子供に強いたのです。ある時、知人の獣医師が、欧米人の獣医師に「日本の動物病院は、ある人々にとっては良心の呵責もない動物の捨て場になっている」と話すと、しばらく考え込み、顔をしかめて「一体それはどういう冗談なんだどこに笑いのポイントがあるんだ?」と、まるで理解できない様子だったと聞き、欧米人の動物への認識の違いを強く感じました。


動物病院に動物を捨てる人たちは「動物病院をやっているような人だから、きっと動物をほっては置けないだろう」という考えから、この行為に及ぶのではないかとの見方もあるようですが、この感覚は、日本人に深く根づいた何らかの国民性によるものなのでしょうか?実際、相談があれば拾った動物の処遇について我々もできるだけ的確なアドバイスをし、時には苦労を共有することもできると思います。しかし、無記名で丸投げした無責任さに対しては、常に困惑と苦悩と後味の悪さが残ります。


このような常識を法律で定めなければならないのも悲しいことですが、今回の動物を遺棄する行為は「動物の愛護及び管理に関する法律」で罰せられ、前科もつきます。現在、罰金は三十万円以下ですが、今年公布された法改正で、五十万以下に変わります。動物を遺棄する前に、同じ動物として、まずどうすべきかを、考えたり相談することが、人に与えられた共生の世界に通じるものだと思います。

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