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院長コラム

注意!気持ち悪いだけじゃないんです

八ヶ岳山麗を中心とした地域でも、蒸し暑い日々が続いています。この季節は虫たちも旺盛な繁殖活動を行います。その中でも、人や動物の体に取り付き、その血液を吸うことで、成長したり繁殖したりする代表的な虫にノミやマダニがいます。このあたりの冷涼な気候が幸いするのか、私が以前住んでいた東京都下に比べても、比較的ノミの被害は少ないように感じられますが、マダニに関しては、大変な猛威を振るっているようです。マダニは、ノミなどと比べても比較的にかゆみは少なく、ほとんどないことも多いです。また、産卵のための準備として一時的に寄生して、いずれ動物の体から去ってしまうので、「見た目が気持ち悪い」以外にさしあたっての危機感を感じさせないことが多いようです。


しかし近年、マダニが媒介(間の取り持ち)する「バベシア」という病原体が注目されています。バベシアは、以前はほぼ関西以西でのみ報告されていたのですが、ここ数年、関東や東北地方でも犬への感染が確認されています。これは、転勤をはじめとした人の移動の増加にともない、その飼育動物に付随して、全国的な広がりをみせつつあると予想されています。このバベシアは、発症すると赤血球膜を破壊し、時に致死的な貧血症状をもたらす、恐ろしい病気ですが、残念なことに安全といえる治療法が以前からなく(製造されていない治療薬が以前はあったのですが、副作用が非常に強く、扱い方が難しかったそうです)、重症の場合でも多少なりとも効果があるのでは、といわれている薬剤と、自己治癒力を支えるための維持療法に頼るしかないのが現状です。


さらに、このような治療法により回復した動物も、じつはバベシアが完全に体内から消失したわけでなく(完全な排除は不可能)、急性期から慢性感染状態に移行して、症状が現れなくなっているだけなのです。幸いにして、このバベシアが動物の体内の侵入し、感染が成立するには、マダニによる吸血が始まって、四十八時間以上の経過が必要なことも知られています。従って、散歩から戻ったら、動物の体をよく観察し、仮にマダニが寄生していれば丁寧に取り除いてあげることが大切です。また、高い確率で、寄生したマダニを四十八時間以内に駆除できる、月に一度投与するスポットタイプの薬も、動物病院で手に入れることができ、この薬の登場以来、関西以西のバベシア症の多い地域では、その発生数が激減しているとの報告もあるようです。

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